2022/10/26

新しい人

9月を過ぎて10月になると、朝なんかはTシャツだとひんやりする日が多くなる。夏にもりもりとしたエネルギーを発散させていた木々は急に鎮まり、あたりの空気の透明感が増すのもこの頃だ。

そういえば、この間コロナ禍でずっと中止されていた練馬まつりが数年ぶりに開催された。駅北口から総合運動場までまっすぐに伸びたマロニエ通り沿いの会場に色々な露店が並ぶ。その会場の一つが開二中だった。

ひょんなことから開ニ中の美術の授業でお店の紙袋を作ってくれることになった。もちろん手作りだから数量限定150枚で。

4、5人でグループになって話し合いながら色々な事を決めていく。まずそれぞれのメンバーが考えた、落ち葉やリス、カヌレの切り株やお菓子の傘といったなかからモチーフを決める。それからモチーフに合わせてデザインを決めていく。お店の窓から見た景色、木々に囲まれたティータイム、アーチ型の屋根に五線が引かれて、その上に音符をのせれば音が鳴り出す。彼や彼女たちの頭の中をイメージが駆け巡っている。

同じ場所で、同じものを見ても、それぞれ違う角度の風景を持つ。それがオリジナリティであり、個性と呼ぶべきものに育っていったりするのかもしれない。

おじさんの僕は色褪せてきた景色に生まれたての風が吹いたようにあっとする。それからお店に向かって歩きながら、何だか一瞬スキップしてみようかなって気分になる。

11月2日からお店でのお買い物に、彼や彼女たちのイメージが手書きで描かれたショッパーが登場します。ぜひ手に取って楽しんで。